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【読書記】諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉/為末 大

こちらは出張の帰りの飛行機で読了。買ってからしばらく経っちゃうけどやっと読むことができた。これで年間10冊という今年の目標はなんとか達成。コミックエッセイ含んでるけどねσ(^_^;)

為末さんはツイッターを始めた2011年のころからフォローしていて、炎上とまではいかないけどよくインパクトのある持論を展開して反響を呼んでいた。この本はちょうどぼくが読んでいたころの2年分くらいの話を体系的にまとめ直したような形になっている。

「諦める力」というタイトルにある諦めるという言葉は、「明らめる」が語源なんだそうだ。現実を明らかにする。悟る。その結果、夢を諦めることもある。それはそんなに悪いことなんだろうか?

現代社会ではとかくネガティブなイメージのある「諦める」という言葉だが、突き詰めると為末さんはこの本の中で“戦略的に生きる”ということを説いているのだと思う。この間の統計学が最強の学問であるしかり、最初の方に読んだイシューからはじめよしかり、今年読んだ本にはたまたまなのか“戦略”をテーマにした本が多かった。


しかし戦略って結局なんなんだろう?この問いにあるとき自分の会社の部長が答えてくれた言葉が印象に残っていて、曰く「戦略とは、目的を定めて、その目的が達せられたと判断できる目標を設定することである」とのこと。ちなみにこの言い方に倣うと、「戦術とは、戦略で定めた目標を達成するための有効な手段のこと」になる。目的を達するために手段はいくらでも変えていいし、選択肢は多い方がいい。

つまり良い戦略とは、目的に近づくための適切なサイズの目標が定められていることと言うことができる。適切なサイズの目標を立てるのに必要なのは自分の現在地を正確に客観的に知ること。これがこの本で言う“明らめる”ということなんだろう。

「諦める」ことは、「逃げる」ことや「終わる」こととは違う。ましてや筆者は「努力なんか意味がない」と言いたい訳でもない。 何を諦めて、本当に諦めたくないものはなんなのか。生きることを諦めない。勝つことを諦めない。幸せを諦めない。そのために自分にいちばん向いている戦術はなんなのか。それはやっぱり一度は逃げずに全力でぶつからない限りには、「明らめる」ことはできない。


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